
スケーターが実際に使ってこそ真価を発揮するアートデッキ
BOARDS OF TRANSLATION First 2008.5.26 RELEASE

名古屋の次世代スケートシーンを象徴するデッキが登場。名古屋界隈のストリートで滑り続けるスケーターの荒木基近と、スケートDVD『CENTRARIZM』でもアニメーションを手掛けたアーティスト、鷲尾友公によるプロジェクト“BOARDS OF TRANSLATION”からリリースされたこの1枚は、名古屋駅のナナちゃん人形をモチーフに、鷲尾独自のタッチで描かれたイルなグラフィックが特徴。しかも表面をスライドさせることによりそのグラフィックが真価を発揮するという代物。跳ねやすく回しやすいストリート仕様のシェイプに、実際に使ってこそ味わいが増すグラフィックが描かれたこのデッキは、飾るだけで満足しがちな既存のアートデッキに一石を投じる作品としても注目できるが、なによりもこのデッキに乗るスケーターのスタイルによってグラフィックのアートが多様な進化を遂げるというアイデアが斬新。まさにスケートボートとアートの新しいコラボスタイルを提案する1枚となっている。
文: 桑原将嗣(ライター)

ストリートに集うスケーターたちは、都市に生きる苛立ちあるいは歓喜を、最も敏感に感じる人種かもしれない。変わりゆく(もしくは何も変わらない)街の底からビルを見上げ、風を切る。
その瞬間彼らは、都市そのものと親密に交わり、遊び、対話している。

グラフィックやイラストレーションの分野で活躍する人物であり、名古屋のスケーターと密接な関係もある鷲尾友公が、名古屋在住のスケーター荒木基近とともに名古屋発のスケートボードを制作した。今回鷲尾が描いたのは、名古屋の天国と地獄、そしてその中間に出現する巨人の姿だ。
街が抱える閉塞感や退屈が、彼らをこのボード制作に向かわせた。「小さな巨人」と鷲尾が呼ぶこのキャラクターは、名古屋駅前のランドマーク「ナナちゃん人形」にインスピレーションを得て誕生したもの。都市のエネルギーの象徴であり、真の刺激を求めるスケーターたちの、内なる怒りや希求の代弁者でもある。ノスタルジックな水玉のパンツをはいた巨人は、完全にイノセントな存在だ。彼女(彼?胸毛あるし?)には一切の虚飾も偏見も通用しない。ただこの街で自由に生きたいと願う魂を、地獄から天国に引き上げてゆくという。
またこの作品は、天国と地獄をモチーフにしたことで、鷲尾が繰り返し描いてきた「生と死」を一層強く突きつける世界観に仕上がった。小さな巨人が立ち上がるとき、非日常のドアが開き、街と人間の真実が暴かれる。そこでは死者が雄弁に語り、生者が魑魅魍魎と化す。その混沌の中からポップにクールに、彼は「WHAT IS LIFE?」と私達に問いかけているのだ。都市と人、生と死、その全てが描かれたボードは、スケーターの心を解き放つ呪術的な力を持っている。
文・絵子 (ディレクター・ライター)

PHOTO_HATTORICAMERA
http://www.boardsoftranslation.com
制作年 2008年
ED 100
サイズ 31.625×7.5
価格 8,800円 japan only
MADE IN U.S.A

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